オランダ誌/HOLLAND
 以前は普通の回転寿司店であったロンドンのリバプールストリート駅
構内にある「モシモシ寿司」はすっかり姿を変えた。
 この新しい日本食店の豪華な雰囲気の店内の店鋪設計・デザインをし
たのは、東京を本拠地とする造形集団代表の兼城祐作氏である。彼の職
人技的インテリア空間は自国主流のデザインにとらわれずに自由な表現
を常に試みている。また、驚く事に母国で500店舗以上もの飲食店の
店鋪デザインを手掛けている。兼城氏は独特の歴史を持つ沖縄出身で、
彼のモダンな沖縄デザインスタイルは日本に留まらず、中国、アメリカ
の要素が融合しており、独自の感性を持った店鋪デザイナーである。
 兼城氏は外の通りから店内が見える事を充分に認識した上で、味のあ
るオーク材を使いテーブルを包む楕円形のパビリオンを構築し、寛ぎや
すいダイニングスペースと視覚での楽しみを二重空間にし幾つものシー
ンを与えて造りだした。さまざまな種類の木材に加え、白い砂や畳、和
紙と呼ばれる日本の紙等のシンプルな素材を使っているのもこの店のデ
ザインの特徴である。兼城氏は木材をあたかも布であるかのように使っ
てみたり、畳を床の上ではなくバーカウンターの天板に使うなど、現代
的な材料も伝統的な材料も全て型破りな方法で使用している。彼の店鋪
デザインに対する知恵と関心は、空間の見た目や雰囲気だけにとどまら
ずメニューやマネージメントにも影響を与え大きな効果を上げてきてい
る。「モシモシ寿司」のエンタープライズにおけるこの新しいリンクは、
既に夜の営業において2倍の実績をあげ成功をおさめていると言えるだ
ろう。
BACK NEXT 閉じる